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2006年 活動記録
11.18(土) NPO日本都市計画家協会関西支部設立記念
関西まちづくり交流セミナー 座論de関西
<本部 交流委員会行事>
パンフレット  神戸・旧居留地「景観誘導と企業防災」の見学と説明
 大阪・空堀「長屋再生と路地まちづくり」の見学と説明
<懇親会:一味禅>
11.19(日) <関西支部設立記念行事>
パンフレット  歴史的町並み・富田林寺内町の見学
 関西支部設立記念シンポジウム
  《挨拶》 黒川 洸(NPO都市計画家協会会長
  《挨拶》 多田 利喜(富田林市長)
  《記念講演》越澤  明(北海道大学大学院教授)
  《座談会》「寺内町まちづくりの展望」
  《取り組み表明》小林 郁雄(NPO都市計画家協会関西支部長)
<第1回 関西支部総会>
12.11(月) 第1回 運営委員会

10:30 ◇ 富田林市寺内町の探検
   集合場所の近鉄富田林駅                   ボランティアの方々の説明で地内町を廻る
重厚な富田林寺内町のまちなみ
      興正寺別院興正寺門前でボランティアの方々の説明を受ける                  
   
関西支部設立記念シンポジウム
13:15 主催者挨拶    NPO日本都市計画家協会会長
                黒川  洸 氏
来賓挨拶       富田林市長   多田 利喜氏
黒川会長挨拶          多田市長挨拶                      
13:30 記念講演 「歴史都市:寺内町の存在価値と遺産について」
北海道大学大学院教授 越澤  明氏
         越澤  明氏 講演      会場風景                    
14:30 記念座論 「寺内町まちづくりの展望」
  北海道大学大学院教授
              越沢   明氏
寺内町をまもりそだてる会 副会長
              木口 俊彦氏
                寺内町をまもりそだてる会事務局次長兼交流館長
              佐藤 康平氏
NPO日本都市計画家協会会長
 
             黒川   洸氏
            座 論   じないまち交流館 1Fで熱心に聴き入る方々 
                    会場質問・討議風景                               
   
第1回 関西支部総会
15:50 取り組み表明  NPO日本都市計画家協会関西支部長
               小林 郁雄氏
小林関西支部長 取り組み表明     司会 正木 啓子氏
16:00 閉会
16:00 関西支部設立総会
                  第1回 支部総会:富田林宣言を採択 
主催: NPO日本都市計画家協会
後援: 富田林市役所
  
《参加者の声》
NPO日本都市計画家協会関西支部設立記念
           関西まちづくり交流セミナ−に参加して

 黒川会長をはじめ、日本都市計画家協会の皆様方には、日頃から、都市計画・まちづくりについて、広く活動しておられる中、本市におきまして、「関西支部の設立記念事業」を開催して頂き誠に有難うございました。
 現在、本市では大阪府下で唯一の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている寺内町と富田林駅前の商業地を含めた区域につきまして、魅力の創出と持続的な活性化、賑わいのあるまちづくりに取組んでいるところであり、今回のまちづくり交流セミナーにおいて今後の事業推進に、貴重なご提言とご支援を頂きお礼を申し上げるしだいでございます。 


 富田林市長  多 田 利 喜
  
 NPO日本都市計画家協会関西支部設立記念の関西まちづくり交流セミナーでは、地元の保存団体である寺内町をまもり・そだてる会から代表で副会長と事務局長が参加され、地元住民としての生活環境についての率直な意見や町並み保存に対する意識の変化など、生の声を聞けてよかったと思います。また、参加者の方から意見のなかで、富田林独自のまちづくりのコンセプトや計画に当たっての10年先をみこした取り組みのあり方などのアドバイスをいただいたことは、行政に携わる者としてたいへん勉強になりました。あらためて地元の宝物としての富田林寺内町を誇りに思った時間でした。

富田林市役所 文化財課  中 辻  亘
 
1.現場(街並み)
・10年以上前に見せてもらったときの印象と比べ、格段によくなっていた(道路などインフラ整備、町家の修景保存など)

2.地元の取り組み
(1)地域の取り組み:地元住民の主体的な活動はすばらしいと感じた(単に自分だけでマップを持って歩くのでなく、ガイドしてもらったのは、理解しやすく、地元の活性化にもなると思った)

(2)市行政の取り組み:推進室まで組織化され、市の意志が明確で、住民の活動も安心してできると思った

(3)地元への新しい住人:あの地に魅力を感じ、移住し、業を営む人が出てきた

(4)地元で支える人々:あの場をおもしろい空間と思う建築士の存在
など、地域のそれぞれの立場の人々が同じ方向を見ながら、動き出したと感じた

3.これから早急に解決すべき課題
(1)課題1:荒れたまま放置 or 売買
  ・原因:次世代がそこで居住できなくなってきている
  ・荒れている原因
   @リフォーム費用が高くつく
   A知らない他人に貸せない
  ・次世代が住めない原因
   B就業地が遠い
   C敷地大きく、居住経費が大きい
   D居住設備が若者世帯に受け入れられにくい
  ・解決方向
   @A ⇒ 行政支援に加え、グランドワークトラストによる支援・仲介
   B  ⇒ グランドワークトラスト仲介による借家、維持管理
   C  ⇒ 所得水準による固定資産税の軽減化
   D  ⇒ 新しい町家の住み方のPR、内部施設の近代化

(2)課題2:人が来ても金が落ちない
  ・原因:喫茶、レストラン、土産物屋がない
  ・解決方向:稼げる仕掛け、仕組みをつくる
   @空き家に商業センスのある人を入れる
   A駅に降りたら、寺内町の駅(ウキウキ)⇒ 地元商店街も寺内町イメージで統一
    (偽物)⇒ 寺内町(本物) といった回遊性、地元商店街との共存共栄   

 など、行政のみに頼るのでなく、行政、住民、地域企業などが参加したグランドワークトラストなどのしっかりした組織対応も考えるべき時期と思う。

大阪府 にぎわい創造部 空港対策室   岡 村  隆 正

13:00 ◇ 神戸・旧居留地「景観誘導と企業防災」の説明と見学
右 旧居留地連絡協議会事務局長 佐久間氏、中央 コンサルタントの山本氏
  小雨の中で見学    明治の下水管を視る
15:30 ◇ 大阪・空堀「長屋再生と路地まちづくり」の見学と説明
  中央 空堀HOPEゾーン協議会会長 鵜飼氏
  空堀の長屋 直木三十五記念館
    まちをまもる戦い       長屋を改装した 『惣』
18:15 ◇懇親会風景(一味禅)
   日本都市計画家協会 黒川会長

NPO日本都市計画家協会関西支部設立記念
関西まちづくり交流セミナー記録


                   日時:平成18年11月19日(日)
                   場所:じないまち交流館 (富田林寺内町)
                   参加人数:富田林寺内町の見学・48名、シンポジウム・85名

<主催者挨拶> 黒川  洸
(NPO日本都市計画家協会 会長
 国土交通省 社会資本整備審議会都市計画・歴史的風土分科会会長)

 NPO日本都市計画家協会は、専門家だけではなく、まちづくりに興味のある人は誰でも入れる。フィールドをもって、政策提言、専門家の派遣、情報交換、まちづくりイベント等を行っていく。東京だけではなく支部をつくろうと、既に、北海道、横浜、静岡に支部が設立され、このたび、関西支部ができた。日本の文化資産が沢山ある関西支部が活躍し、交流の輪が大きく広がることを期待する。


<来賓挨拶> 富田林市長 多田 利喜
 関西支部の設立、おめでとうございます。寺内町は、興正寺を中心に重要伝統建造物群保存地区に指定されている。市としては、この貴重な遺産を次世代に受け継ぐため、まちなみ保存や道路整備に取り組んできた。また、住民の自発的取組みで、まちやの公開やライトアップ、地域の観光ボランティアなどが行われている。(会場である)じないまち交流館が本年4月1日にオープンし、今後、駅の南側の整備も予定している。


<記念講演> 「歴史都市:寺内町の存在価値と遺産について」
       
越澤  明
       (北海道大学大学院教授
        国土交通省 社会資本整備審議会歴史的風土部会長)

 今年は古都保存法が制定されて40周年であり、これまで、飛鳥、奈良、京都、鎌倉の4地域に限定されていた国の古都保存行政の政策を全国に拡大できないか検討をしている。古都保存法ができた当初は、宅地開発を制限して市街地外周の緑を保存してきたが、市街地のまちなみの再生までは至らなかった。これが現在の課題となっており、2年前に古都に指定された大津市では古都保存法を契機に景観行政の取組みが始まっている。一方、全国各地で平泉、石見銀山、富岡製糸所、金沢城など世界遺産指定の動きがあり、文化財行政も対象が戦後まで広がってきた。
 萩、近江八幡、倉敷、小布施などでは地元行政の努力とかつての旦那衆文化のなごりから、まちなみの再生に成果を出しており、まちの歴史と文化と伝統に誇りをもっている。リゾート都市でも熱海では大型旅館跡地にマンションが林立して情緒と景観が失われたが、別府では九州で最初の景観行政団体となり、まちづくり交付金も取り入れ、湯煙の景観と観光振興に取り組んでいる。
 今年とりまとめた古都保存法の審議会の報告では、古都保存法の4地域以外の全国各地の歴史都市における歴史的風土は国民共通の資産として保存・継承が図られるべきである、と述べている。歴史都市とは戦国末期から江戸初期に形成された城下町、宿場町、港町、寺内町をさしており、国の審議会報告で寺内町の歴史的価値が記されたことになる。寺内町の街並みが維持されている代表例が橿原市今井と富田林である。
 美しい都市空間と伝統文化は都市の観光を促進し、経済効果をもたらす。台湾、韓国、からの観光客はノービザとなり、上海と東京が観光地として競合する時代に来ている。

 参考として全国の事例を紹介する。角館では、上級武家屋敷を保存するため所有者が会社化を行っている。函館では伝建地区の指定範囲が限られているためその周囲で乱開発が生じている。さらに良好な景観を形成するためには建物だけでなく道路も重要であるし、犬山では都市計画道路の廃止を契機に、町家の修復再生と歩いていけるまちづくりへ転換が始まった。金沢のように「開発と保全の調和」も大切であり、歴史的なゾーンでは道路、水路、塀を修景するだけでも環境が大きく改善される。金沢では戦後、用水路に蓋をして車を止めていたが、開渠に戻したため、人が来て、栄えるようになった例もある。
 木曽川では川を挟んで向かい合う犬山市と各務原市が県境を超えて景観協議会をつくっている。各務原の由緒ある別荘が企業によって歴史的資産を活用する例もある。大磯町、小田原市では近代の別荘地を地元ボランティアが誇りをもってガイドをしている。近江八幡の八幡堀の再生は、地元の旦那衆が率先してドブと化した堀に入り、ごみ拾いをしたことが始まった。町屋で最近設置された案内板では大店の由来と歴史を記載している。

 このような様々な関係者や地域の方々の意欲を高め、活動をコーディネートしていくのも、まちづくりに関わる専門家の役割ではないか。もともとの旦那衆の意欲、その地域に関心や愛着を感じて住みついた人、外部の支援者・コーディネーターなどそれぞれの取り組みが大事である。



<記念座論> 「寺内町まちづくりの展望」
       越澤 明教授
       木口 俊彦(寺内町をまもりそだてる会 副会長)
       佐藤 康平(寺内町をまもりそだてる会 事務局次長兼交流館長)
       黒川 洸会長

(佐藤)寺内町をまもる会が1973年に発足した。当時は「保存より発展」という時代であり、住民にとってこのまちは古い、汚い、道が狭い程度のイメージであり、なかなか地元住民の合意がとれなかった。杉山邸が宅地開発業者に買い取られたのをきっかけに、市が危機感を持ち、買い取った。その後、2004年に現在の「まもりそだてる会」となり、住民の8割強の参加を得ている。
(木口)まもりそだてる会は、年会費1200円、市の補助が20万円の計50万円程度の活動予算で運営は約30人。研修や先進地見学、広報部会でカレンダー発行、企画事業部会で陶器づくり、3月には掃除などの活動を行っている。
(黒川)日本が人口減少期に入り、ようやく世の中も保存に目がむいてきた。しかし、実際に住んでいる方々はどう思っているのか。独居老人、長男のお嫁さんが一緒に住んでくれるか、夏暑くて冬寒い、新住民は古くからの町内会のルールを分かってこの地区に入ってくれるのか、など、いろいろな問題があるのではないか。どんな支援をすれば永続性があるのか。
(木口)私は生まれてずっとこの地に住み、サラリーマンであったが定年後を考え、この活動をやっている。将来どう維持し、次世代に伝えるかが課題で、外観の修復には補助があるが、それだけでは維持が難しい。
(佐藤)私も定年まぎわにもどってきて自分と妻と母の3人世帯。障子でプライバシーが守れないので、息子の同居は難しい。周辺では老人世帯が多い。空き家も多く、新しい住民に来てほしいが、老朽化のため住める状態にするまで改修が必要で家主負担が大きい。

<この後、会場からの質問を募り、意見交換>
(会場)飲食店や土産店、観光客の立ち寄り場所などをつくる予定はあるのか?
(佐藤)当初から住環境のよさを目指したため、定番の土産屋をつくるのはその方向に合わない。地元の特産品だけ販売することは考えられる。

(会場)車社会の中で、道が狭く駐車場があまりないようだが、マイカーを制限されているのか?
(木口)駐車場はあり、朝の通勤時間帯にはかなりマイカーで混雑する。
(佐藤)観光バスの客は駅前で降りてもらい、商店街を歩いてまちに来てもらう。道路がまっすぐに通っていない「あてまげ」がこのまちの特徴だが、住民は不便をかんじていない。
(越澤)橿原市今井では、寺内町を貫通する都市計画道路が決定されていたが、その後、長い取り組みでこれを廃止し、むしろ歴史的街並みの再生を行った。
(黒川)車でどこでもいけるという今の日本人の意識は問題がある。カーナビから寺内町の情報を外してほしい。住民同士は狭い道路で互いに譲り合うルールがあるが、外から車で来る人は道を譲らず、スピードを出すので危険。

(会場)京都も車で悩んでおり、歩いてくらせるまちを目指している。寺内町は人間を中心にしたスケール感のまちであり、早急に今のまちを変える必要はない。

(会場)新しい住民が来ることはあるのか?
(越澤)富田林では他から来られて焼き物工房を開いている方がいるようですが。
(工房の人)縁あってこのまちで、焼き物の窯とギャラリーを持つことができた。沢山の手作りの仲間が集まってくると良いと思い、古い家の人に家を貸してくれるよう頼んでいるが、なかなか思うようにいかない。改修に莫大なお金がかかる。若い人々が、補助やみなの理解、力添えを期待している。6月から第二土曜日に「じないいち」を開催している。
(佐藤)住みたい人は多いが、家が老朽化しており貸せる状態にない。寺内町では家屋の固定資産税は減免されているが、住居には年60〜70万円の固定資産税がかかり負担が大きい。
(黒川)このまちは博物館ではなく生身の人のすむ都市であるべき。

(会場)新しく建てられた家でもまちなみに配慮しているところがあったようだが。
(会場)施主と設計者とでよく考えられたものだろう。私もこのまちで戸建住宅を設計したことがある。倉としての外観を保ったまま、中をギャラリーに改造したところ、住民の方に気に入ってもらえた。自分も4年前にこのまちに引越して、古い長屋を借りて住んでいる。冬は寒いがいろんな対処方法はある。

(木口)周辺の山並みがみえる見晴らしの良いところをポケットパークとして活用したいと考えている。
(佐藤)まもりそだてる会は9つの町会が一緒に取り組んでいるが、これにより、地域の防災・防犯意識が高まり、治安がよくなった。

(越澤)いろんな立場の人々が一緒に話し、交流すること、いろいろな知恵や発想が出てくるのではないか。


<取組み表明> 小林郁雄(NPO日本都市計画家協会 関西支部長)

 この世紀の都市計画は、開発整備から保全運営へ移っていくが、どういう形で財政をつぎ込んでいくのか、永続的な活動を大きなテーマとしていきたい。
 関西支部では、「さろん」的な集まりが基本と考えており、「都市計画ホールディングス」として、いろいろな活動をしている人たちの自由な意見交換の場づくりに取り組む。「座論(ざろん)」として、路地裏の国土政策をまじめに論じ、関西から発信していきたい。



<関西支部総会>

・役員の人事は以下の通りとする。

        支部長 小林 郁雄
幹事(副支部長)   正木 啓子
幹事(事務局長) 吉野 国夫
広報委員 柿木 浩一  小島 富佐江

・ 運営について、2ヶ月に1回程度、運営会議を行う。また、年1回、総会を行う。
・ いろんな会に出席して盛り上げよう。
・ 非会員も含め、好き勝手にいろいろなことをやっていこう。
・ 設立にあたり、富田林宣言を採択。

以上

※都市計画ホールディングス

 関西では、他に何らかの専門を持ちながら「都市計画に取り組む専門家」のイメージが強く、他の専門とは、たとえば、環境、造園、情報、建築、まちづくり、土木などです。このことは、一見「都市計画の基盤の薄さ」を想像させますが、見方を変えると多種多様な業種を包含するホールディングスのように強固な基盤と幅広い情報の取得を意味します。

実際のホールディングスは、経営統合の折、共同で設立した持株会社の子会社となり、それから合併に伴うさまざまな課題などの整理を行うことが多いようですが、当支部の設立にかかわるメンバーが、都市計画に関連する他の既存組織に多く属していたことから「都市計画」株を持つホールディングスを模したものです。

(文:正木 啓子 副支部長)